行政書士のための「行政」講座

 行政書士の仲間に入れて頂いて数年を経ましたが、ベテランの先生方も含めて仲間の皆さんは個別の行政手続きにはお詳しいのだけど、各種「行政」自体の仕組みをあまりご存じないなあと思うことがしばしばありました。

 無理もありません。「法律」の試験を受けて行政書士になりますが、行政法を勉強しても行政の実態については全くつかめません。

 政令市への入庁から国の機関への出向、県の団体への派遣や、特区関連での経産省等との共同作業ヲなどを通じていわゆる中央政府、各レベルの地方政府の間の立体的関係をつぶさに見てきた経験を通して、行政世界の「壁の中」を詳しく解説していこうと思います。

まず皆さんは役所の種類は大雑把に言って何種類かお分かりですよね。そうです、日本の役所は国、都道府県、市区町村の三層構造が基本です。ではそれぞれはどのような構造か分かりますか?

 国って役所はどこにどんな形でありますか?県庁、市役所はそれぞれの地方に建物があるのが見えますよね。じゃあ国は国庁?国役所?・・・なんてのはありませんよね。そもそも「国」という単体の法人は存在しません。では「政府」はどうでしょう。これも単一の存在ではありません。「えっつ!政府って首相官邸にあるんじゃないの?」って方も多いかと思いますが、「政府」、「国」は国家行政組織法に規定される複数の役所の集合体のことを意味します。簡単に言えば内閣官房・各府省の集まりです。

 ので、あなたの事務所の近くの国道事務所も政府・国の一部です(ごくごく末端のそのまたひげのような存在ですが。)その証拠に一度お電話してみましょう。(呼び出し音・・・のあと)「はい、国土交通省です。」おっと大きく出たね~。そうです正確には例えば「国土交通省○○地方整備局△△国道事務所××維持出張所」~ひゅうひゅう、ながいながい、でも小なりとは言え「省」のごく末端の先の微細な一部です。もちろん職員さんは「国家」公務員つまり「国」の役人さんですので、ここまで「国」「政府」です。

 ニュースで「政府は~決定した」なんて言うとき、確かに「閣議で決定」してるものもあります。でも、ことの大小で、全部「閣議決定」やって決めてたら大臣さんは何十年も寝ずに閣議だけやる羽目になります。なので、ことの軽重によって決めるべき管理職(大臣を含む)のランクが決まっています。役所にはそれぞれ「○○以下専決規定」ってのがあって、この件は「次官」これは「局長」これは「課長」が「府省の名前」できめていい、ってなってます。「厚労省が決定した」でも実際は厚労省○○局の局長さんがハンコ押して決まったことかもしれません。さらに、○○省は国・政府の構成要素ですからニュースでは「政府は~~することをきめました。」となるのです。

 分かりやすく書くと、重要なものから「閣議決定するレベルの事項」・「各大臣決裁のもの」・「次官決裁のもの」・「局長決裁のもの」・「課長決裁のもの」となります。ちなみに副大臣さん、政務官さんはラインの管理職じゃない(大臣にだけぶら下がっているスタッフさん)ので、ことを決める権限は持ってないです。

 その「国」を47に区分しているのが都道府県ですが、なんで県だけでなく都道府があるの? って、思いますよね。まあ道と府は気にすることは有りません。明治の廃藩置県で県を置いてゆく時に江戸期に重要だった街(京、大阪、江戸)を含む県?を特別に「府」と呼んで重視した結果が京都府、大阪府、東京府(戦時中に「都」に変更:詳細後述)です。機能は他の県と変わりません、名前だけ、気分の問題です。北海道は元来日本人(倭人)の住む日本国の64州には入っておらず、明治期に新たに日本領に編入された沿革もあるためか、現在の自治法上も部局の置き方に違いがありますが、権能は「県」と変わりません。

 東京都だけは異質です。第2次世界大戦中に首都行政の一元管理(上意下達)の徹底を図るため戦時政府が東京市を解体して区だけを残し、内務省から市民(区民)までの命令系統を「内務省→東京都(府から変更)知事→(東京市長職を廃止)→区民(市民から変更)」へと簡略化したもの。なぜか戦後も残ってしまい、いびつな「都」と外側のないあんこだけのような「23区」となっています。特別区の区長には完全な首長としての権限はなく、東京都知事が自治法上の「市長」の権能を持っています。

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